2022/05/10
私は人同士の関係性を改善するのに難しいことなんて必要ないと思っています。 お互いに相手を否定せず、お互いの思いを冷静に受け止めて、理解し合う。その上で、互いにとって最適な行動について話し合う。 それだけです。誰でも分かることだと思います。 ですが、これを「動的」な会話でやると失敗します。なぜなら、会話というのは、リアルタイムにものすごく高度で高速な処理を求められるからです。特に聞き手側です。 会話の場合、まずどちらかが話し始めれば、もう一方が強制的に聞き手役に回されます。聞き手側は、聞き手のポジションに回されたことを受け入れる努力をしながら、相手の話を聞き、相手の言わんとするところを理解するために脳を高速に回転させながら、一方で自然と湧き起こる自分の感情をコントロールしつつ、自分の意見を形成し、相手への攻撃にならない伝え方まで考えながら返答の準備をし、さらにそれを発するタイミングを根気よく待つ、という作業をしています。 そのどれかひとつでも失敗すると、感情に任せた反応を相手に返してしまい、会話が一気に険悪なムードになってしまいます。そして、それに反応した相手がさらに攻撃的なリアクションをしてくるという悪循環に陥ります。「動的」な会話はリアクションがリアクションを呼ぶので歯止めが効きません。結果、どちらかが一方的に会話を打ち切るという事態にまで至ります。 なので、関係性を良くするためには、会話や対話は「静的」に行う必要があります。相手の話にリアクションして返すという反動を発生させないということです。 そのためには、まずお互いが自分の意見をそれぞれ個別に事前に表明してしまっておく、という方法が効果的です。その後に、お互いが順番に語るのです。さらに、互いの意見があらかじめ全て見えていれば、何を聞けばいいかが分かって安心して聞けると思いませんか? それを実現するために、私は意見をカタチにするという手法をオススメしています。議論を始める前に、それぞれが自分の意見をカタチにして表現してしまっておくというやり方です。このプロセスによって、互いの意見を冷静に受け止めることができるようになります。 歯止めが効かない「動的」な会話を、理解し合える「静的」な対話に変えて、お互いの関係性をより良くしていきましょう。