「チームがつながるとき」――田中誠一の逆転劇⑦

<実話に基づくAIビジネス小説>
40代課長の田中誠一は、部下との意思疎通に日々苦悩していました。そんな田中が、とあるワークショップをきっかけに、互いの違いや強みに気づき、対話によってチームが一丸となって成長していくストーリーです。
実話をベースにAIを活用してビジネス小説にいたしました。毎週火曜・金曜の週2回、全11話をお送りしていきます。田中誠一とチームがどう変化していくのか、是非お楽しみください!


第7話:新しい視点での対話

3つのステップに渡る練習を終える頃には、会場の雰囲気はすっかり和んでいた。参加者たちの表情も柔らかくなり、最初のぎこちなさは消えていた。田中は、自分の中にあった緊張が徐々に解けていくのを感じていた。
「レゴでこんなにも自然に集中できるとは思わなかった……」
彼は心の中でそう呟き、少しだけ心が軽くなったような気がした。

テーブルには、さまざまな色や形のレゴブロックが並べられており、それぞれのパーツが手を動かす参加者たちの前で組み上げられていった。新井は前に立ち、優しい笑顔で参加者を見渡しながら語りかける。
「皆さん、ここまでの練習お疲れさまでした。皆さんがこれほど集中して取り組んでくれたおかげで、すばらしいスタートを切れました。これで、今日の本題にもしっかり取り組んでいただけるはずです。」
田中も気がつけば、レゴブロックを手に取り続けていた。手を動かしていると、自然と心が落ち着いていくのを感じていた。

新井は、参加者たちに次の課題を提示する。
「それでは、ここからが本題です。次のテーマは、『あなたが仕事において発揮したい自分の強みや特性は何だと思いますか?』です。それをレゴブロックで自由に形にしてみてください。」
田中は、一瞬戸惑いながらも、目の前のブロックに手を伸ばした。自分の強み――「粘り強さ」や「チームへの貢献」が思い浮かんだが、それをどう形にすればいいのかはすぐに思いつかなかった。
「とりあえず、手を動かしてみるか……」
そう呟きながら、ブロックを一つずつ積み上げていく。次第に集中が深まり、周りの音も気にならなくなっていった。

会場全体が静まり返り、参加者たちはそれぞれの思いを形にする作業に没頭していた。柴田や中村も真剣な表情でブロックを組み立てている姿に、田中は少し感心した。「普段は見せない表情だ……」
全員が作品を完成させると、新井が柔らかな声で促した。
「それでは、自分の作品について順番に説明をお願いします。ストーリーを共有した後、お互いに質問をする時間も取りましょう。」

最初に発表したのは中村だった。
「僕の作品は、いろんなブロックが支え合っている形をしています。僕の強みは、人と協力して物事を進める力だと思っています。」
他の参加者も中村の話に耳を傾け、頷きながら理解を深めていった。
次に柴田が自分の作品を説明する。
「僕は、一つの柱がしっかりと立っている形を作りました。何があってもブレずにやり通す――それが自分の強みだと思います。」
田中も自分の作品について語る番が来た。
「僕の作品は、目標に向かってまっすぐ伸びていく塔のような形です。粘り強く取り組むことが、自分の持ち味だと思っています。」

発表が終わると、新井が微笑んで問いかけた。
「皆さん、それぞれの作品について、質問をしてみてください。作品には、その人の思いや考えが表れています。質問を通じて、さらに理解を深めていきましょう。」
中村が手を挙げて、柴田に質問する。
「その柱、途中で支えを加えることは考えなかったんですか?」
柴田は少し考え込んでから答えた。
「正直、変えるのが怖かったんです。支えを加えた方が安定するかもしれないけど、一度決めたことを途中で変えるのが苦手で……」
そのやり取りを聞きながら、田中は胸に小さな発見を覚えた。「なるほど、彼はこんな風に考えていたのか……」
それまで見えなかった部下の内面が、作品を通じて少しずつ明らかになっていく。

新井がまとめに入る。「皆さん、質問を通じて普段は見えない部分に触れることができたのではないでしょうか。これが、作品を使った対話の力です。」
田中はその言葉を胸に刻み、静かに頷いた。「形にして、言葉にすることで、こんなにも深くお互いを理解できるとは……」
ワークショップを通じて、田中は新たな視点を手に入れ始めていた。「違いを理解し、それを尊重し合うことで、対話が生まれ、チームが変わる。」
この瞬間、田中の心の中に、新しい希望の光がともったのだった。

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田中は、メンバー同士が作品を通じて語り合う中で、これまで見えなかった彼らの思いや特性を深く知ることができました。対話を重ねることで、お互いの違いを理解し、信頼が少しずつ生まれていくのを実感しています。そして、ワークショップは佳境へと進んでいきます。

第8話へつづく。

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